集合圏ではレトラクションと全射は同値

集合と写像の圏で、

レトラクション <=> 全射

であることを示す*1

fがレトラクション => f が全射

fがレトラクションだから、セクションを持つ:

    s         f
B ------> A ------> B
s;f = id                 (1)

一般に写像について、

    φ        ψ
X ------> Y ------> Z ならば Z ⊇ Im ψ ⊇ Im (φ;ψ)

が成り立つ。これを(1)に適用すると、

B ⊇ Im f ⊇ Im (s;f) = Im id = B

となり、

Im f = B

すなわち、fが全射である。

f が全射 => fがレトラクション

     f
A ------> B

全射とする。すなわち、

∀b ∈ B, ∃a ∈ A, f(a) = b

が成り立つ。よって、上のbにaを対応させることで写像をつくることができる。これをsとする: s(b)=a。
sを用いて上を書き直すと、

∀b ∈ B, f(s(b)) = b

となる。これは、f・s がidであることを言っている。従って、fはレトラクションである。

*1:面倒なので「fがセクションを持つ」ということを「fがレトラクションである」と言うことにします。