エントロピーとか計算とかの与太

マクスウェルの悪魔がこの世に降臨するとき - 檜山正幸のキマイラ飼育記 (はてなBlog)で触れられていた告知:Information Thermodynamics - hiroki_fの日記、面白そうで行ったらよかったなあ。仕事で無理だけど。
で、

測定(情報の入手)と忘却(情報の破棄)がトータルとしては限界値を持つが、個別にコスト最適化すれば、コストゼロ(またはマイナス)が達成できるとのこと。

は、田崎さんの熱力学に似たような記述があったのを思い出した。
2つ(以上)の系をまとめて1つの系としたときに、全系でのエントロピーは減少しないが、1つ1つの系に関しては減少させることが可能だ、とかいう話だったような。手元に本が見つからないのが悔しい。

あと、

グリーンとアルテンキルヒ(Alexander S. Green, Thorsten Altenkirch)の定式化などを参考にすると、計算そのもののコストはゼロだと思っていいのだけど、初期化(例えばメモリのゼロクリア)にコストがかかってしまうようです。初期化とは、以前の状態を捨てること/忘れることなので、忘却にコスト(エネルギー)がかかると言ってもいいでしょう。

は、コモニャドセミナーのときだったかの帰りの電車の中で聞いて「ほえー、サッパリわからん。」と思ったのを思い出した。ラムダ計算セミナーのときにも、「変数の入れ替えは"ほぼ"コストゼロ」というのも記憶にあるのでまあ、何となく興味はあった。

与太

ある仕様を与えられたとき、その色々な実装のなかで一番速いのはなんだろうか?という問題をたまに考えたりする。Rubyの最速の処理系とか、πを1兆桁求めるとか、水の入ったバケツをひっくり返したときの流れとか。
答は多分ソフトウェアじゃないし、論理回路でもないだろう、と思う。じゃあなんだろう。
例えば、ナビエ-ストークス方程式を解く一番速い計算機は多分流体そのものかもしれない。ニワトリとタマゴみたいな話になるけど、現実の計算機だって電子があっち行ったこっち行ったを(極めて粗く)観測してるんだから同じだろう、と思う。
最速ナビエ-ストークス計算機が流体じゃないという可能性はあるかもしれない。例えば素粒子レベルのある物理過程で、粗っぽく測定した場合(じゃなくてもいいけど)の支配方程式が偶然ナビエ-ストークスだったら、そっちの方がはるかに速いかもしれない。
そんな風に考えてると、計算=物理過程というのが自然に思えてくる。「計算は物理過程だ」というのは普通だけど、「(任意の)物理過程は計算(と思ってよい)」というのは、正しいかどうかは別として、面白い見方だなと思う。計算と物理過程を同一視できるなら、計算にエネルギーがかかるとかエントロピーが変化するとかの言い方は全然おかしくない。計算の散乱断面積とかは悪ノリだと思うけど。
10年ぐらい前に「2次方程式専用計算機としてのボール投げ」というネタを思いついたのと、ここ最近聞いた話が混ざって、こんなことを考えたりしている。こういう方向での研究ってあるんだろうか。全く見当はずれだったら…まあいいや。