確率 統計 力学

このごろ田崎さんのところの統計力学を斜め読みしている。400ページ以上あるので斜め読みでもじっくり読んでる気分になれる。

2008年の春になって、出版の準備段階に入ったら、ファイルの公開を中止する

らしい。そろそろかな。
思い入れ一杯に書かれてて教科書らしくなくて面白い。

2.2.2でチェビシェフの不等式が取り上げられてて

統計力学の本格的な問題をあつかうようになると、チェビシェフ不等式はますます重要になってくる。

とベタ褒めしてて思い出したのが、小針あき宏の確率・統計入門。チェビシェフの不等式の箇所(命題2.4)を確認すると、証明の前後でこき下ろしてる。

証明の前にひとしきりこの命題の悪口を言うことにしよう.(中略)八方美人は底が浅い(中略)甘い甘い(証略)殿様のような贅沢をした不等式になっている.
チェビシェフ氏にはお気の毒だが, 数学に接するときは, これくらい悪たれを言う批評精神は是非欲しいものである.

評価が真っ二つでワラタ。
両方読んだ印象では、物理的な意味づけを与えている田崎さんの記述の方が正当かなぁという気がした。

でもまあ数学者が著書で有名な定理に噛み付くってのもあまり見かけないし、そういう意味で確率・統計入門も思い入れたっぷりで書かれてて面白い。数学専門の人が真面目に統計を書いた本ってあまり無い気がするけど、これは多分例外。まだそこまで読んでないけど。確率のところも測度を出さずに面白く書いてある。章末問題とか。

それはともかく、今年の夏に培風館から出る予定のはずらしい統計力学の本が楽しみだってことで。

確率・統計入門

確率・統計入門