順序集合で圏(2)
順序集合を圏論的に考えるのに便利な概念を整理する。簡単のため、充満部分圏とその埋め込み関手と関手圏の対象としての埋め込み関手をポインティングする関手を同じ記号で表すことにする。
順序集合からの関手
プレ順序集合から一般の圏への関手は忠実関手になる。Hom 集合が空か 1 点集合だから明らか。
順序集合のコンマ圏*1
考えるプレ順序集合を D
、その部分プレ順序集合を A、B
とする。
コンマ圏 A↓B
は
- 対象
-
(a, b)∈A×B、ただし a≦b
。 - 射
(a, b)→(a', b')
-
a≦a' かつ b≦b'
。
という圏になる。この射(順序)でコンマ圏 A↓B
はプレ順序集合になる。
コンマ圏 A↓B
からは A、B
へ射影があるが、これは充満とも対象に関して単射とも限らない。当然忠実ではある。
コンマ圏の片方を1点(からなる順序集合)の場合を考える。すなわち x∈D
として、A↓{x}、{x}↓A
を考える。どちらも同じなので前者のみ考え、記法も A↓x
とする。
コンマ圏 A↓x
は
- 対象
-
(a, x)、a∈A、a≦x
- 射
(a, x)→(a', x)
-
a≦a' かつ x≦x
。
だが、冗長さを省くと単に
- 対象
-
a∈A ただし a≦x
。 - 射
a → a'
-
a≦a'
。
となる。明らかに、コンマ圏 A↓x
から A
への射影は充満部分圏になっている。従って D
の充満部分圏にもなっている:
A↓x ⊆ A ⊆ D
特別な場合としてスライス D/x
は D
の部分プレ順序集合になっている。
*1:コンマ圏の定義はComma category - Wikipedia参照。