普遍射と関手の表現可能性の関係
圏論の基礎(マックレーン)などで極限の定義に用いられている普遍射*1の概念と, 関手の表現可能性の間にはっきりした関係があったので書いておく.
普遍射と関手の表現可能性
マックレーンに書いてありそうだけど書いてない内容. *2
関手 F: D → C と c ∈ |C| に対して,
1.
F から c への普遍射
が存在する.
⇔ D(-, r) が C(F-, c) を表現し,D(r, r) 〜 C(Fr, c) id |→ v
2.
c から F への普遍射
が存在する.
⇔ D(r, -) が C(c, F-) を表現し,D(r, r) 〜 C(c, Fr) id |→ u
証明は難しくないので省略.
極限との関係
圏 C での(余)極限は圏 J から C への関手 L の, Δ (からの|への)普遍射として定義される. L は図式と思ってよく, Δ は対角関手である. 上の事実によって CJ(Δ-, L) の表現可能性と lim L の存在が同値になり, CJ(L, Δ-) の表現可能性と colim L の存在が同値になる.
随伴との関係
上の「存在」、「表現可能」に「常に」をつけると, 随伴の存在条件になる. すなわち,
- Δ から任意の L への普遍射
が常に存在する. - 任意の L に対して lim L が常に存在する(lim L = r).
- 任意の L に対して CJ(Δ-, L) が常に表現可能.
- Δ の右随伴 lim が存在する.
は全て同値で, 双対的に
- 任意の L から Δ への普遍射
が常に存在する. - 任意の L に対して colim L が常に存在する(colim L = r).
- 任意の L に対して CJ(L, Δ-) が常に表現可能.
- Δ の左随伴 colim が存在する
も全て同値になる。
*1:定義は普遍性 - Wikipedia などを参照.
*2:目立たないところに書いてあった!